Webマガジン 第201号  

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<WebマガジンSignalNow> 2021年6月15日・第201号
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(1)2分で読める防災コラム 第147回
   「南海トラフ巨大地震」の最新調査研究について
(2)5月の地震活動
(3)5月の地殻変動

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(1)2分で読める防災コラム 第147回
   「南海トラフ巨大地震」の最新調査研究について
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先月末、政府・地震調査委員で産業技術総合研究所の岡村行信 名誉リサーチャーが、次に
起きるであろう「南海トラフ巨大地震は、江戸時代の1707年に起きた宝永地震と同じタイ
プのものになる可能性が高い」という研究成果を発表しました。

今号は、この「南海トラフ巨大地震」に関する「津波堆積物」を用いた過去の巨大津波の
最新の調査研究についてです。

1.これまでの調査研究成果について

調査研究チームは、過去に沿岸を襲った津波の痕跡の分析を行うことで、「地震のタイプに
よって、将来起きる地震の揺れや津波の高さを推定できる」としています。

産業技術総合研究所では10年以上にわたって、過去の巨大津波を解明するための津波堆積
物の調査・研究を続けてきました。

津波堆積物とは、海岸沿いの平野の地層に含まれ、沿岸低地の地層に残されている砂層を
指します。

まず、北海道東部の太平洋沿岸域での調査で、これまで知られていなかった巨大津波が、
17世紀に襲っていたことがわかりました。

この北海道での研究を発展させる形で、東北地方や西南日本の太平洋側の沿岸域などの津
波堆積物の調査を実施してきました。

これらの調査研究結果から、東北地方の仙台平野や石巻平野、福島県沿岸域の平野におい
て、約500年間隔で巨大津波が発生していたことを解明してきました。

2.津波堆積物について

海岸平野では、海岸に沿って地形的にやや高い砂丘が発達し、その陸側は平坦な低地になっ
ていて、自然のままの状態であれば湿原や干潟になっています。

北海道東部の太平洋側では、有名な霧多布湿原を始め、こうした環境が多く残されています。

自然の湿原では水の流れが穏やかなため、砂がほとんど堆積せず、植物遺骸(泥炭)や泥
がゆっくり堆積していきます。

そこへ巨大津波が発生し、膨大な海水が海岸から砂丘を乗り越えて流れ込んでくると、そ
の上に広範な砂の層を形成し、津波が去った後、湿原が再び元の姿に戻って、自然な泥炭
や泥が堆積していきます。

こうして、砂の層が泥炭や泥層中に挟まった形で残されるのが津波堆積物です。

津波堆積物は、過去の巨大津波の痕跡として堆積したものであり、このような砂層を丹念
に追跡して、その広がりや年代を明らかにすることにより、過去の津波の浸水範囲を再現
することができるというわけです。

湿原では、津波以外にも大規模な洪水によって砂が運ばれる可能性があるものの、砂に含
まれる珪藻化石などの分析によって、海から運ばれたものかを判別できるとしています。

3.宝永地震について

宝永地震は、300年ほど前の1707年10月28日の14時頃、遠州灘から四国までの沖合を震
源として発生した、マグニチュード(M)8.6という巨大地震です。

西南日本の陸のプレートと、南海トラフから西南日本の下に沈み込むフィリピン海プレー
トとの境界のずれが引き起こしました。

現存する過去の記録で最大規模の地震であり、駿河湾から四国沖まで一度に破壊したもの
とみられ、被害の甚大さも最大規模となりました。

宝永地震の津波も最大のものとなり、標高の高い陸地の奥まで到達したとみられます。

宝永地震から147年後の1854年には、南海トラフの東半分で安政東海地震が、その30時
間後に南海トラフの西半分で安政南海地震が、それぞれM8.4と推定される巨大地震が襲い
ました。

それから90年後、昭和19年には東南海地震(M7.9、最大津波高9m)、さらに2年後の21
年には南海地震(M8.0、最大津波高6m)が発生しました。

4.今後について

「南海トラフ」による巨大津波は、太平洋側で広域に発生するとされ、過去の歴史記録や
地層の記録によって、津波の規模や発生時期が研究されています。

過去の南海地震や東海地震について、発生年代や津波の規模が解明されているのは、西南
日本の太平洋側では巨大地震の発生間隔が比較的短く、また歴史記録が豊富に残されてい
るからです。

今回の調査研究によって、本当の津波規模を精度良く推定するための手法を改善する必要
があることが明らかになりました。

巨大地震によって引き起こされる実際の津波規模は、津波堆積物から再現できる津波規模
より大きいと考える必要があるそうです。

津波堆積物の調査・研究から、津波の規模を正確に推定するためには、まだ改善の余地が
あるようですが、重大な警告であることには違いありません。

津波堆積物は大自然が残した貴重な痕跡であり、南海トラフが宝永地震レベルの規模にな
るであろうことは、今後の対策、災害軽減に役立つ情報であることに間違いはないでしょう。

ぜひとも、この最新の調査研究成果を、減災・防災に役立てて欲しいものですね。

[出典]
産業技術総合研究所
https://unit.aist.go.jp/ievg/report/jishin/tohoku/tsunami_taiseki.html

次号もお楽しみに!

by Hirono

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(2)5月の地震活動について
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5月1日の宮城県沖の地震(M6.8)により最大震度5強を観測しました。この地震により、
負傷者4人の被害がありました。

全国で震度3以上を観測した地震の回数は15回で、このうち、最大震度4以上を観測した
地震は4回でした。

日本及びその周辺におけるM4.0以上の地震の回数は96回でした。

気象庁 21.6.8
http://www.jma.go.jp/jma/press/2106/08a/2105jishin.html

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(3)5月の地殻変動
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東北地方を中心に、2011年東北地方太平洋沖地震後の余効変動が見られます。

5月1日に発生した宮城県沖の地震(M6.8、最大震度5強)では、「S石巻牧浜」や「矢本」
で東南東方向に1cmを超える変動が見られるなど、宮城県を中心に広い範囲で小さな地殻
変動が観測されました。

2020年夏頃から紀伊半島西部・四国東部で観測されている、それまでの傾向とは異なる地
殻変動は、最近は鈍化しているように見えます。この変動は、紀伊水道周辺のプレート境
界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。

2019年春頃から四国中部でそれまでの傾向とは異なる地殻変動を観測しています。この変
動は、四国中部周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと
推定しています。

2020年夏頃から九州南部でそれまでの傾向とは異なる地殻変動を観測しています。この変
動は、日向灘南部のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推
定しています。

硫黄島では、「硫黄島1」及び「M硫黄島A」では隆起が、「硫黄島2」では南向きの変動が
継続しています。

国土地理院 21.6.8
https://www.gsi.go.jp/WNEW/PRESS-RELEASE/2021-goudou0608.html

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第1位 6月7日 千葉県南東沖で最大震度3の地震
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/4340740895958560/
第2位 5月14日 福島県沖で最大震度4の地震
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/4268329479866369/
第3位 5月26日 和歌山県南部で最大震度3の地震
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/4305238066175510/

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