Webマガジン 第214号  

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<WebマガジンSignalNow> 2022年7 月15日・第214号
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(1)命を守る防災コラム 第160回
   石川県能登地方の地震について
(2)6月の地震活動
(3)6月の地殻変動

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(1)命を守る防災コラム 第160回
   石川県能登地方の地震について
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今号は先月、石川県能登地方で発生した最大震度6弱の地震についてです。

1.地震の概要について

6月19日15時8分、石川県能登地方(震源地:石川県珠洲市)の深さ10kmを震源とするM
(マグニチュード)5.2の地震により、最大震度6弱が観測されました。

石川県では、2007年3月25日に能登半島沖発生したM6.9、石川県七尾市や輪島市などで震度
6強の揺れを観測した「能登半島地震」以来の震度6となります。

気象庁によりますと、最大震度6弱の地震を観測して以降、27日午前8時までに、能登地方を
震源とする地震(震度1以上)を計32回観測され、このうち23回が19と20日に集中しました。

石川県能登地方では4年ぐらい前から小規模な地震の活動が確認され、半島の先端部を震源と
する地震が2018年ごろから増加傾向にあり、2020年12月から活発化していたとのことです。

あまり報道等されてきませんでしたが、この地域の地震活動が1年以上も続き、2020年12月
1日から2022年6月20日までに、震度1以上を観測する地震がなんと160回も発生していた
そうです。

この中で、21年9月16日には最大震度5弱(M5.1)の地震も発生していました。

気象庁によりますと、2020年12月以降、活発化する傾向がみられていたということです。

2.考えられる地震の発生原因について

石川県能登地方の地震は、群発地震の一連の活動とみられます。

現地で観測を続ける研究チームは、地下深くから上昇した水などの流体が地震を引き起こす断
層面に入り込み、断層をすべりやすくしているという可能性を指摘しています。

京都大学防災研究所や金沢大学の合同研究チームは、主に2つの原因を指摘しています。

1つ目は、地下に水などの大量の流体がたまって膨張し、周囲の地盤を押すような力が加わっ
て、20年12月以降、珠洲市の地表面が約4cm隆起していることです。

地下で流体の集まりが膨らんでいるので、周囲の岩盤に力が加わって、耐えきれなくなった岩
盤が割れて地震が起きます。

2つ目は、断層のすき間に入り込んだ流体が断層を押し広げ、断層をすべりやすくしているこ
とです。

地下には摩擦力で引っかかって、くっついている断層がたくさんあるため、断層の間に水が入
ることで潤滑油のような働きをし、断層を動きやすくしてしまうのです。

金沢大の平松良浩教授(地震学)は「2つの原因のうち、最近は断層面に流体が入り込み、潤
滑油のような役割を果たしている傾向がより強くみられる」と言います。

能登半島の地下深くに沈み込んでいる太平洋プレートから、高温高圧でしみ出した水などが上
昇して、断層面に入り込んでいるとみられます。

京都大の西村卓也准教授(測地学)は、能登半島の地下にある流体の量が、20年12月からの
1年間で約200万立方メートルに達したとみていて、この量は国内の活動的な火山が1年間に
蓄えるマグマの量に相当します。

このような「地下の流体が群発地震を起こした」例は、1965~70年に長野県で発生した「松代
地震」が知られ、最終的には大量の水が地表に噴き出して沈静化した地震でした。

つまり、松代地震と「メカニズムが一緒」だとすれば、能登半島では現在、活断層でもプレー
トでもない「流体」を直接的な原因とする「流体地震」が起きているという指摘です。

西村准教授は「能登半島の地震の震源は、地下の流体の上昇とともに震源が浅くなり、地表に
大きな揺れをもたらす地震が起こりやすくなっているのではないか」と話しています。

平松教授は「流体の影響でM7級の地震が起こる可能性も否定できない」とし、今後の地震活動
についても「まだまだ続くと予想される」と述べています。

能登半島の北岸には、1729年の能登・佐渡地震(M6.6~7)や2007年の能登半島地震(M6.9)
などを引き起こした海底活断層があり、これに流体が入り込むことも懸念されるそうです。

3.地殻変動について

今回の地震活動との関連が指摘されているのが地殻変動です。

地震活動が活発になった2020年12月頃から今年に入っても続き、地面が隆起する地殻変動も
観測され、地震との関連が指摘されています。

地殻変動によって、珠洲市の観測点で地面が4cmほど隆起させ、周囲に火山がない場所でこれ
だけの変化が観測されるのは珍しく、メカニズムについては専門家でも議論が続いています。

地殻変動が専門の京都大西村准教授が要因として指摘しているのが地下の深さ十数キロの場所
に流れ込んだ「流体」です。

「流体」として考えられるのは「地中の高温と高圧で水が状態変化した “超臨界水” やマグ
マ、ガス」などで、太平洋側から地下深くに沈み込んだ「太平洋プレート」の岩石から水分が
分離して上昇した可能性もあるとしています。

京都大や金沢大が能登半島で臨時の観測点を設置し、詳細な地殻変動を観測しているほか、磁
気などで地下の構造の解析も進められています。

東京大学地震研究所の古村孝志教授は「石川県能登地方では1年余り前から地震活動が活発に
なっていて、今回地震が起きた場所もその領域であり、一連の地震活動と考えられる」と言い
ます。

また、今後の地震活動について「大きな揺れのあとは地震活動が活発になりやすい。今回地震
が起きた場所は、地震が群発して起きている。一般的に活動が上がったり下がったりしながら
長期間にわたって続くため、地震活動が活発な状態は今後しばらくの間続くと考えて警戒を続
けてほしい」と話しています。

政府の地震調査委員会は7月11日、能登半島北東部で2020年12月から活発化している地震活
動と地殻変動について「委員長見解」を公表しました。

高温高圧の地下深くで生じた水により球状に圧力が高まったり、亀裂が広がったりして地震を
引き起こしている可能性があるものの、「原因を特定することは困難」としています。

近くに海底活断層があり、「地震活動に減衰傾向は見えず、当分続くと考えられる。今後も強い
揺れや津波に注意が必要だ」としています。

この地域では、昨年9月に最大震度5弱の地震が起きたほか、今年6月19日に震度6弱、翌
20日に震度5強の地震が相次いでいます。

これまで南海トラフなど、比較的太平洋側に注意が向けられていましたが、日本海側にもこの
ような注意・警戒が必要だということを改めて思い知らされる地震でした。

油断することなく、万一に備える防災意識を持って、最小限の被害にとどめられるよう備えた
いですね。

by Hirono

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(2)6月の地震活動について
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6月19日の石川県能登地方の地震(M5.4)により最大震度6弱を観測しました。

また、この地震の震源付近では、翌20日に発生したM5.0の地震により最大震度5強を観測し
ました。これらの地震により軽傷者7人、住家一部破損3棟などの被害がありました。

6月26日の熊本県熊本地方の地震(M4.7)により最大震度5弱を観測しました。

全国で震度3以上を観測した地震の回数は19回で、このうち、最大震度4以上を観測した地震
は6回でした。

日本及びその周辺におけるM4.0以上の地震の回数は112回でした。

気象庁 22.7.8 令和4年6月の地震活動及び火山活動について
https://www.jma.go.jp/jma/press/2207/08a/2206jishin.html

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(3)6月の地殻変動
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東北地方を中心に、2011年東北地方太平洋沖地震後の余効変動が見られます。

石川県能登地方では、2020年12月頃から「能都」で南南西方向の変動が、「珠洲」で隆起が見
られるなど、この地域の地震活動とほぼ同期して地殻変動が観測されています。なお、6月19
日15時8分に石川県能登地方で発生した地震(M5.4、最大震度6弱)については、現時点で顕
著な地殻変動は見られません。

2020年夏頃から紀伊半島西部・四国東部でそれまでの傾向とは異なる地殻変動が観測されてい
ます。この変動は、紀伊水道周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因す
るものと推定しています。

2019年春頃から四国中部でそれまでの傾向とは異なる地殻変動が観測されています。この変動
は、四国中部周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定し
ています。

2020年夏頃から九州南部で観測されている、それまでの傾向とは異なる地殻変動は、最近は停
滞しているように見えます。この変動は、日向灘南部のプレート境界深部における長期的ゆっ
くりすべりに起因するものと推定しています。

2022年2月頃から沖縄本島北西沖で発生している地震活動とほぼ同期して、久米島の「具志
川」で、南南東方向に小さな地殻変動が観測されています。

硫黄島では、「硫黄島1」及び「M硫黄島A」で隆起が、「硫黄島2」で南向きの変動が継続し
ています。

霧島山では、霧島山を挟む「えびの」-「牧園」等の基線で2021年12月頃から伸びが見られ
ます。

国土地理院 22.7.8 令和4年6月の地殻変動
https://www.gsi.go.jp/WNEW/PRESS-RELEASE/2022-goudou0708.html

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第1位 6月20日 石川県能登地方で最大震度5強の地震を観測
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/5514618095237495/
第2位 6月17日 徳島県南部で最大震度4の地震を観測
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/5504958046203500/
第3位 7月06日 宮城県沖で最大震度4の地震を観測
https://www.facebook.com/SignalNow/posts/5558997600799544/

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